研究について

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「気持ちよさをもたらす看護ケア理論の創成」の研究概要

 本研究の最終目的は、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアに関する研究成果を①患者にもたらされた効果、②看護師の認識、③患者と看護師の関係性の3局面から統合し、「気持ちよさをもたらす看護ケア理論」を創成することです。
 平成25年度には、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアの統合的文献レビューを基に、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアの効果を構成する要素を抽出し、介入効果尺度を開発するための基礎資料を提示し、日本看護技術学会第13回学術集会で発表します。
 また、看護師のケアについての記述データを分析し、手浴ケアが患者-看護師の関係性にもたらす質的変化を検討し、日本看護技術学会第13回学術集会で発表します。
 看護ケア理論開発の大きな課題は、患者と看護師の相互作用を捉える研究の蓄積が少ないことです。看護ケアは、患者と看護師間の信頼関係によって成り立つものであると考えられてきましたが、患者と看護師の関係性が看護ケアにどのように影響しているのかを明らかにする研究は殆どありません。
 そこで、平成26年度は、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアに対する看護師の経験の語りから、看護師が看護ケアや患者との関係性をどのように認識しているかを明らかにしたいと考えています。

現在取り組んでいる研究

「気持ちよさをもたらす看護ケアの統合的文献レビュー」

 本研究は、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアの統合的文献レビューを基に、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアの効果を構成する要素を抽出し、介入効果の測定尺度を開発するための基礎資料を提示することを目的とする。

医学中央雑誌webにおいて「気持ちいい」「気持ちよい」「気持ちがいい」「気持ちがよい」「気持ちよさ」をキーワードに検索した128件(2013.6.27)のうち、看護師が行う直接ケアに焦点を当てた文献は計41件であった。これらの文献について、研究デザイン、対象者、看護ケアの種類・方法、看護ケアの効果要素を抽出し、量的データと質的データを区分した。次に健康な人を対象とした基礎研究と患者を対象とした臨床研究に分け、患者への「気持ちよさ」をもたらす看護ケアの効果を構成する要素を検討した。

41文献で扱っている看護ケアは、清潔ケア(洗髪、清拭、入浴、シャワー、洗顔等)10件、足浴(マッサージなどの他のケアとの組み合わせも含む)9件、マッサージ8件、温罨法8件、手浴4件、モーニングケア1件、化粧療法1件、であり、基礎研究は13件、臨床研究は28件であった。

ケア効果の出現は、ケア実施中の反応、実施直後の反応、実施後の反応(翌日まで)、翌日以降の拡大した反応と4つの時系列に分類されることが明らかになった。臨床研究では、ケア実施中から直後に多く見られた看護ケアの効果要素は、<気持ちいい>24件、<温かい>10件、<爽快感が得られる>9件、<リラックスする>7件、<眠気を生じる>7件、<表情が良くなる>7件であり、<気持ちいい><温かい><爽快感が得られる>をVASやリッカートスケール等を使用した文献では、有意差を示す研究も含まれていた。実施直後~実施後に多くみられた要素は、<症状が緩和する>44件であり、VASやリッカートスケール等を使用した文献では、有意差を示す研究も含まれていた。実施後~翌日以降では、<睡眠が改善する>16件、<意欲が高まる>8件であり、VASやリッカートスケール等を使用した文献では、有意差を示す文献はなかった。翌日以降は、<生活行動が拡大する>6件であったが、全て質的データであった。

一方、基礎研究では、実施中から実施直後の効果に焦点を当てた研究が多く、翌日以降の効果を見ている研究はなかった。実施直後~実施後に最も多くみられた要素は、<体温上昇>20件、<自律神経活動の安定>16件であり、生理学的データを用いており、有意差を示す研究が多く含まれていた。また、<気持ちがいい>11件、<温かい>11件であり、VASやリッカートスケール等を使用した文献では、有意差を示す文献も含まれていた。

患者を対象とした「気持ちよさ」をもたらす看護ケアの効果としては、<症状緩和>や<意欲の向上>および<生活行動の拡大>が特徴として挙げられことから、「気持ちよさ」をもたらす看護ケアは、治療的看護ケアを通して生活を支える意味合いが顕著であることが示唆される。しかし、これらの効果は、質的データが多いため介入研究を積み上げてエビデンスを構築するには、尺度開発が必要であり、今後の課題である。 

「気持ちよさ」をもたらす看護ケアに対する看護師の認識の検討

 看護ケア理論開発の大きな課題は、患者と看護師の相互作用を捉える研究の蓄積が少ないことです。看護ケアは、患者と看護師間の信頼関係によって成り立つものであると考えられてきましたが、患者と看護師の関係性が看護ケアにどのように影響しているのかを明らかにする研究は殆どありません。
 「気持ちよさ」をもたらす看護ケアに対する看護師の経験の語りから、看護師が看護ケアや患者との関係性をどのように認識しているかを明らかにする研究に取り組んでいます。

 内科系病棟、外科系病棟、緩和ケア病棟、ICU/CCUに勤務する臨床経験5年目以上の看護師を対象として、グループインタビューを行いたいと思います。研究協力をして頂ける方は、「協力者の募集」ページからご登録をお願いいたします。

交流集会 「気持ちよさ」をもたらす看護ケア理論の開発に向けて 報告

  2014年11月22日(土)、日本看護技術学会第13回学術集会にて、“「気持ちよさ」をもたらす看護ケア理論の開発に向けて”をテーマに交流セッションを開催しました。本交流セッションには、100名程度の参加者があり、活発な意見交換がなされました。参加者からは、「安楽というのはその人が尊厳を持って生きていくという広い概念で、ケアの意義はそこにあると思う。」リディアE.ホールの言葉を引用して、「看護専門職者が医療費削減のために医師から医療行為を引き受けたことによって、看護専門職者は、“安楽”というケアの本質である要素を切り捨ててしまい、そのために一番損をしたのは患者である」と述べ、「安楽というのは患者のコミュニケーション・チャンネルを拡大し、そのことから患者は全人格が解放され、自分の言いたい事を表出する、教育や学習を受けやすくなるなど・・・つまり安楽にするためだけの安楽ケアではなく、その人自身が成長したり学習したりできるような安楽ケアが必要であるのに、看護師はそれを自ら失い、痛みを伴う行為の時にしか存在しなくなってしまっている」と現在の看護界の動きに警鐘を鳴らしました。

「看護師は気持ちいいケアをしたいと考えていますが、医療行為が優先され、ケアを行う時間がありません。短時間でできる、場所も限定されていないケアができればいいと思うようになります。そのような現状を理解した上で、改善するためにどうしたらよいか。」「忙しい中でも看護師の心がけが重要である。臨床では「安全」が第一となっている傾向があるが、気持ちいいケアが重要であることを言い続けなければ、看護師のケアから消えてしまうのではないかと危惧している。今後も更に気持ちよさをもたらすケアのエビデンスを提示していきたい。」「気持ちよさをもたらすケアの方法論の開発と、忙しい中でも実施すべきと看護師が感じられるような「気持ちよさ」の効果をはっきりと出すことが重要となってくる。」等の意見交換がなされました。

「フットケアを行ったことで医師には言えない病気への思いや自己管理ができないことなど、患者の語りが得られた経験がある。」「気持ちよさを通して、過去の気持ちいい体験を思い起こして患者が変化するのではないか。」等の気持ちよさをもたらす看護体験についても多く語られました。

「気持ちいいケアを学生に学んでほしいと感じる。・・・3年生の実習で、患者から気持ちよかったと言われた体験を通して、学生がどうしたら気持ちよさを提供できるのかと考えるようになります。学内での看護技術演習でも患者役の学生と看護師役の学生の体験を基に、相互にフィードバックしながら、気持ちよさについて考えて行きたいです。」と基礎教育についての意見交換もされました。

参加者間での看護実践や看護教育、看護研究に対する熱い思いを交換でき、充実した幸せな時間を過ごすことができました。ありがとうございました。来年度も第2弾の交流セッションを開催し、研究成果の紹介とネットワークづくりをすすめたいと思いますので、多くの方のご参加を期待しております。

     

 
【こちらもご覧ください】
気持ちよさをもたらす看護ケア理論の開発に向けて、縄秀志、矢野理恵、佐居由美、大橋久美子、樋勝彩子、日本看護技術学会誌、14(1)、24-26、2015

日本看護技術学会第15回学術集会(9/24.25)@高崎  キーセッションのお知らせ


 2016年9/24(土) 9:30~10:30に、日本看護技術集会第15回学術集会にて、
キーセッションI:「気持ちよさ」をもたらす看護ケア理論の開発に向けて
演者 縄秀志(高崎健康福祉大学)を開催しました。
 

多くの皆様にご参加いただき、ありがとうございました。



第22回聖路加看護学会学術大会(9/16)@明石町  にて演題発表(示説)しました

タイトルは、
「気持ちよさ」をもたらす看護ケアにおける患者の反応-看護師の認識に関する全国調査報告-
でした。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
当日の写真→IMG_3804.jpg
 


日本看護技術学会第16回学術集会(10/14.15)@広尾  演題発表のお知らせ


 日本看護技術集会第16回学術集会(2017年10月14日15日)では、交流集会は開催しませんが、演題発表を行います。
タイトルは、
「気持ちよさ」をもたらす看護ケアに対する看護師の認識 -全国調査の分析 その1-
です。
発表は、10月15日の示説第9群13:15-14:15です。http://www.jsnas16.jp/files/day2.pdf
皆様のご参加をお待ちしています。


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